2015年7月26日(日):第21回合同勉強会
【フォーカシング入門】
- フォーカシングとは何ですか?
大規模な科学的調査研究で,心理療法で望ましい変化がクライエントに生じるときには,クライエントが「言葉にならないが身体に感じられている感じに適切に触れている」ということが明らかとなったんですね。その過程が広義のフォーカシングで,それを効率的に練習する方法としてジェンドリンが考え出したのが,狭義のフォーカシングです。
- フェルト・センスって何ですか?
フォーカシングで,気になることや引っかかっていること,問題だと思っていることを思い描いたときに,身体に感じられる感覚のことです。フォーカ シングの最重要なキーワードです。フォーカシングとはこのフェルト・センスとやりとりすることなのです。feltsenseは直訳すれば「感じられた感覚」ということになりますが,senseには「感覚」と「意味」の両方の意味がありますので,「意味がありそうに感じられる感覚」というとわかりやすいですね。たとえば,好きな異性を思い描いたときに,胸が「キュン」となる感じが出ることはよくありますね。この「胸がキュンとする」とでも表現できる感じがフェルト・センスです。
- フォーカシングは役に立ちますか?
まず,自分の心の不思議さに驚くでしょう。そして,なぜ心理療法では話を聴くだけで治療になるかがわかります。また,ベテランの精神科医である,神田橋條治先生は,「フォーカシングを学べば,心理療法の失敗の7割は消滅する」と言っています。とかく心理療法では「技法」を身につけたい気持ちが先行しますが,この「技法」が治療者の心身と離れていないことが重要なのです。その意味でフォーカシングを身につけるとさまざまな技法が治療者と一体化するのに役立ちます。また,精神分析でいう「逆転移」を感知するのにフォーカシングはとても役立ちます。
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- 企画 学習院大学 大学院生
- 講師 学習院大学文学部心理学科教授 臨床心理士 伊藤研一先生
- 場所 学習院大学 北2号館 10階大会議室
- 参加費 500円
- 開催日時:2015年7月26日(日) 15:00~18:00 勉強会(3時間)
- 参加者 31名(男性:17名 女性:14名)
- 参加校 11大学院 1大学
学習院大学文学部心理学科教授,臨床心理士の伊藤研一先生にお越しいただき,フォーカシングについての初心者向けの講義とワークショップを行いました。
以下は,フォーカシングについて伊藤研一先生にQ&A形式でご説明いただいたものです。
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18:30~21:00 懇親会(希望者14名+伊藤先生も参加されました)
大学院生:28名(M2:12名 M1:16名) 学部生:1名 修了生:2名
初参加者:6名
◇講師紹介◇
伊藤研一先生
学習院大学文学部心理学科教授。臨床心理士。
東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得修了。大正大学カウンセリング研究所専任講師,文教大学人間科学部教授を経て現職。
論文に「臨床動作法とフォーカシングの連続性と相違」(臨床動作学研究),著書に「治療者にとってのフォーカシング」(至文堂),「心理臨床への道しるべ」(八千代出版)など。